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認知症予防コラム

愛と感謝を込めて贈る、未来への贈り物。バレンタインのチョコレートが認知症予防の鍵になる?

2026年02月04日

2月14日、バレンタインデー。街が華やかなチョコレートの香りに包まれるこの季節は、大切な人へ想いを伝える特別な日です。恋人やパートナー、家族、そして日頃お世話になっている方へ。そのギフト選びに、今年は「未来の健康」という新しい視点を加えてみてはいかがでしょうか。近年、チョコレートの主原料であるカカオに含まれる「カカオポリフェノール」が、私たちの脳に驚くべき効果をもたらす可能性が、数々の科学的研究によって明らかになってきました。特に、中年期以降の方ご自身やパートナー、そして親世代の健康が気になり始める方々にとって、これは見逃せない情報です。今年のバレンタインは、心のこもったチョコレートに「いつまでも元気でいてね」という願いを込めて、認知症予防という未来への贈り物をしてみませんか。

脳の老化に立ち向かう「カカオポリフェノール」の力

私たちの体は、呼吸によって取り入れた酸素の一部が変化した「活性酸素」によって、日々少しずつ酸化し、いわば「錆びて」いきます。この酸化ストレスは、肌のシミやシワといった見た目の老化だけでなく、血管や内臓、そして脳の細胞にもダメージを与え、様々な病気の引き金となります。認知症もその一つです。

ここで救世主となるのが、植物が紫外線や害虫から自らを守るために作り出す「ポリフェノール」です。赤ワインのアントシアニンや緑茶のカテキンなどが有名ですが、カカオにはポリフェノールの一種である「カカオフラバノール」が豊富に含まれています。このカカオフラバノールが持つ強力な「抗酸化作用」が、活性酸素の働きを抑制し、脳細胞が傷つくのを防いでくれるのです。いわば脳にアンチエイジングの盾を授けるようなもので、この働きが、認知機能の維持、そして認知症予防への第一歩となります。

 

ポリフェノールの種類

主な含有食品

期待される効果

カカオフラバノール 高カカオチョコレート 抗酸化作用、血流改善、BDNF増加、認知機能改善
アントシアニン 赤ワイン、ブルーベリー 目の健康維持、抗酸化作用
カテキン 緑茶、紅茶 抗酸化作用、体脂肪減少、アミロイドβ蓄積抑制
クルクミン ウコン(ターメリック) 抗炎症作用、肝機能改善、アミロイドβ蓄積抑制
フェルラ酸 米ぬか、玄米 抗酸化作用、神経細胞保護、アミロイドβ蓄積抑制

脳の栄養「BDNF」を増やす魔法のチョコレート

最近の研究で、脳科学の世界で大きな注目を集めている物質があります。それが「BDNF(脳由来神経栄養因子)」。BDNFは、神経細胞の発生や成長、維持、そして再生を促す、まさに「脳の栄養」とも呼べるタンパク質です。特に、記憶を司る脳の「海馬」に多く存在し、私たちの学習能力や記憶力に深く関わっています。しかし残念ながら、このBDNFは加齢とともに、特に65歳を過ぎると減少していくことが知られています。そして、BDNFの減少は、うつ病やアルツハイマー型認知症の発症と関連があることも指摘されています。

ところが、希望の光となる研究結果が報告されました。日本の大手食品メーカー(株式会社明治)が愛知県蒲郡市、愛知学院大学と共同で行った実証研究で、45歳から69歳の男女347名が4週間にわたって高カカオチョコレート(カカオ分72%)を毎日一定量(25 g)摂取したところ、血中のBDNF濃度が有意に上昇したことが報告されました。これは、アジア系人種を対象とした研究では初めての画期的な発見であり、高カカオチョコレートの継続的な摂取が、脳を内側から活性化させ、認知機能の低下を防ぐ可能性を力強く示唆しています。

認知症の原因物質に直接アプローチ?

アルツハイマー型認知症の主な原因の一つと考えられているのが、脳内に「アミロイドβ」という異常なタンパク質が蓄積することです。このアミロイドβが脳の神経細胞を傷つけ、記憶障害などを引き起こします。

近年の研究では、カカオポリフェノールがこのアミロイドβの蓄積を抑制したり、その毒性から神経細胞を保護したりする働きを持つ可能性が示唆されています。さらに、カカオポリフェノールには脳の血流を改善する効果も確認されています。脳への血流が良くなれば、神経細胞に十分な酸素と栄養が供給され、脳全体のパフォーマンスが向上します。これは、認知機能の維持にとって非常に重要であると考えられます。

愛を伝える、賢いチョコレートの選び方と食べ方

では、具体的にどのようなチョコレートを選び、どう食べれば、その健康効果を最大限に引き出せるのでしょうか。今年のバレンタインギフト選び、そしてご自身の健康習慣のために、ぜひ以下のポイントを参考にしてください。

  1. 「カカオ70%以上」の高カカオチョコレートを選ぶ

カカオポリフェノールの恩恵を受けるには、カカオの含有量が多い「高カカオ(ダーク)チョコレート」を選ぶことが重要です。一般的なミルクチョコレートは、カカオ含有量が低く、糖分や脂肪分が多いため、カカオポリフェノールによるプラスの効果が弱く、糖分や脂肪分によるマイナスの効果が目立ってしまいます。パッケージの「カカオ分〇%」という表示を必ず確認し、「70%」以上のものを選ぶようにしましょう。最初は苦く感じるかもしれませんが、その苦味こそが、脳を元気にする力の源です。

  1. 毎日少しずつ、継続することが鍵

研究で効果が確認されているのは、毎日継続して摂取した場合です。一度にたくさん食べるのではなく、1日に20g~30g程度(板チョコレートで3~4かけ)を目安に、毎日コツコツと続けることが大切です。高カカオチョコレートも決して低カロリーではないため、食べ過ぎには注意しましょう。

  1. 食べるタイミングも意識してみる

日本の芝浦工業大学の研究では、ダークチョコレートに含まれるフラバノール(ポリフェノールの一種)の摂取により、短期記憶の向上などがマウスを用いた研究で示されています。これは、カカオの成分が感覚刺激として脳に信号を送り、即座に記憶や覚醒に関わる神経系を活性化したことによるものと考えられています。勉強や読書、あるいは集中力が必要な仕事の前にひとかけらのダークチョコレートを食べる、という新しい習慣を取り入れてみるのも良いでしょう。

今年のバレンタインは、愛と健康を贈ろう

バレンタインデーは、愛や感謝の気持ちを形にして伝える素晴らしい機会です。そのギフトに「相手の未来の健康を願う」という想いを乗せることができたなら、それは何よりも心のこもった贈り物になるのではないでしょうか。

ご紹介したように、高カカオチョコレートは、単なる美味しいお菓子ではありません。科学的根拠に裏付けられた、脳の健康を守り、認知症のリスクを低減する可能性を秘めた食品なのです。ご自身の健康のため、大切なパートナーの未来のため、そして尊敬するご両親への感謝のしるしとして。今年のバレンタインには、カカオの豊かな香りとほろ苦さの奥に秘められた、力強い生命の力を贈ってみませんか。そのひとかけらが、10年後、20年後の笑顔に繋がっているかもしれません。

 

参考資料