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認知症予防コラム

【書籍紹介】『アンエイジング』に学ぶ、「最高の老い」を迎えるための新常識

2025年12月11日

50代からの人生は、「最善の老い」をめぐる冒険だ。

あなたは最近、「老い」について考える時間が増えていませんか? 健康診断の結果を見るたび、「昔はこうじゃなかったのに…」と少しばかりため息をついたり、身近な人が病気になったりする話を聞いて、自分もいつかそうなるのだろうか、と不安になったり。老いは、誰もが向き合う人生の大きな課題です。

テレビや雑誌では「人生100年時代」と華やかな言葉が並びますが、実際に65歳まで生きられるのは、65年前に生まれた人の86%にすぎない、という現実をご存じでしょうか? そして、老いることが「当たり前」とされている社会で、私たちはいつしか「老化は避けられないもの」という見方にとらわれてしまっているのかもしれません。

『アンエイジング』は、あなたの「老い」に対する認識を覆し、未来への希望を与えてくれる一冊です。

最善の老いについて知るべきこととは?

老いを「避けられない運命」ではなく、「人生を豊かにするチャンス」だと力強く語りかけてきます。老いの本質は、単なる機能の低下ではない。それは、私たち自身の「選択」と「行動」によって、いくらでも変えられるのだと教えてくれるのです。

著者が診察した94歳のビジネスマンの話が、それを鮮やかに物語っています。その方は、年に一度の健康診断でいつも「アルツハイマー病になった」と訴えるのだそうです。理由を尋ねると、「『赤と黒』の作者の名前を忘れてしまったから」。彼は、自分の記憶力の低下を悲観していましたが、著者はこう諭します。「94歳にもなって、49歳の時と同じ記憶力を期待してはいけません。むしろ、94年間生きていて、オフィスを持ち、4階まで階段を上れることの方が、圧倒的に『並外れたこと』なのですよ」と。

この言葉に、ハッとさせられました。私たちはつい、若い頃の自分を基準にして、今の自分を評価してしまいがちです。ですが、人生の後半戦は、誰かと比べることでも、過去の自分と比べることでもない。大切なのは、自分がいかに驚異的な生存者であるかを理解し、今も持ち続けている能力に感謝することなのです。この本の中では、老いに対する私たちの「期待」が、いかに重要であるかを教えてくれます。

老いの3つの目標と4つの「予備能」

では、どのようにして「最善の老い」を実現すればよいのでしょう? 本書では、そのためのヒントを具体的に示してくれます。

まず、目指すべきは、「普通に老いること」ではなく、「並外れた老い」です。

そのための3つの目標が提示されています。

  1. 死なないこと(生存)
  2. 病気にならないこと(無病息災)
  3. 健康であること(高いレベルのフィットネスを維持すること)

この3つは、私たち誰もが願うことでしょう。しかし、特に3番目の「健康であること」が、単なる「生存」や「無病息災」だけでは不十分だと、本書は語ります。たとえば、長寿で知られる「ストラルドブラグ」という架空の種族の話がガリバー旅行記に出てきます。彼らは決して死にませんが、年とともに体も心も衰え、悲惨な状態に苦しむというのです。 「ただ生きるだけでは意味がない」という、重い教訓が胸に響きます。

そこで鍵となるのが、この本が提唱する「4つの予備能(レジリエンス)」です。

  • 認知的予備能: 脳が効果的に機能し、困難な状況にも耐える力。
  • 身体的予備能: 体のあらゆるシステムが、加齢による変化に耐え、十分に機能する力。
  • 心理的予備能: 健康な精神を維持し、ストレスや不安、悲しみに適切に対処する力。
  • 社会的予備能: 他者や社会とのつながりを維持し、支援を得られる力。

これらはどれか一つを鍛えればよいというものではなく、すべてが複雑に絡み合い、互いに影響し合っています。この4つの予備能を高めることこそが、老いによって生じる機能低下を和らげ、より質の高い人生を歩むための土台となるのです。

「脳」は、あなたの冒険の舵取り役

この本が特に力を入れているのが「脳」の重要性です。脳は単なる臓器ではなく、私たちの人生の「司令官」であり「最高指導者」である、と著者は言います。

年をとるにつれて、記憶力や計算能力が少しずつ低下するのは事実です。しかし、それが必ずしも「病気」や「障害」につながるわけではない、と本書は力説します。たとえば、アルツハイマー病に特徴的な脳内変化があっても、高いレベルの「認知的予備能」によって、認知症を発症しない人が3人に1人もいることがわかっています。

では、その予備能はどうやって高めるのか? 答えは、意外なほどシンプルです。 「身体的、精神的活動は、脳内の神経細胞の新生を促進するのに役立つ成長因子の分泌を増加させます。」

「若年期におけるよい食事や運動といった健康的な生活習慣は、老後の認知機能を向上させます。」

そうです、日々の生活習慣こそが、あなたの脳の健康を大きく左右するのです。身体を動かし、新しいことを学び、人との交流を大切にする。これらの行動が、脳の可塑性を高め、老いの変化に立ち向かう力を養ってくれるのです。

最後に

この本は、老いへの漠然とした不安を、具体的な行動に変えるための羅針盤です。脳科学や進化論、症例研究といった幅広い視点から、老いの真実を解き明かしてくれますが、専門知識がなくてもすんなり理解できるやさしい語り口で書かれています。

老いは、決して「避けられないもの」ではありません。それは、あなたが何を考え、何を食べるか、誰とどう関わるか、といった日々の「選択」によって、いくらでも変えられる「チャンス」なのです。

この本を読み終えたとき、あなたはきっと、明日から何をすべきか、人生の後半戦をどう生きるべきか、明確な答えを見つけられるはずです。そして、新しい冒険の旅に出る準備が整うことでしょう。

今こそ、あなたの人生の「最善の老い」をめぐる冒険を始めてみませんか。

 

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