APOE遺伝子検査を受けられた方へ
2025年10月08日
このコラムでは、APOE遺伝子検査の結果を、単なる「リスクの数字」で終わらせず、具体的な認知症予防の行動計画に変えるためのヒントをお伝えします。
結果を知った、それからが大切です
APOE遺伝子検査、お疲れ様でした。検査結果を受け取り、ご自身の遺伝子型を知ったことで、認知症に対する意識が一段と高まったかと思います。
この遺伝子検査は、アルツハイマー型認知症と関連が深いアポリポタンパク質E(APOE)遺伝子のタイプを調べたものです。最も多い認知症であるアルツハイマー型認知症の発症リスクの「一つの要因」を知る手がかりとなります。
ここで最も重要なのは、「遺伝子型=発症の有無」ではないということです。遺伝的要因に加えて、加齢や生活習慣(環境要因)が認知症の発症に密接に関わることが分かっています。
検査結果は、あなたの未来の健康を守るための「最高の羅針盤」です。この羅針盤を手に、今日から何を行ったらよいかを見ていきましょう。
ステップ1:検査結果の「本当の意味」を理解する
まず、ご自身の検査結果が持つ意味を正しく理解することが大切です。
①リスクは「決定」ではない、「確率」を高める因子である
ϵ4型を持っている方は、そうでない方に比べて発症の「リスクが高い」とされますが、「必ず発症する」わけではありません。また、ϵ4型を持っていなくても、アルツハイマー型認知症を発症する可能性は十分あります。
②結果は「早期予防」のチャンスを教えてくれている
遺伝的リスクが高いと分かった方は、「自分には予防が必要なんだ」という明確な動機付けが得られるかと思います。
認知症予防は、ϵ4型の有無にかかわらずすべての人にとって重要なことです。特にリスクが高めと判定された方は、「今」から生活習慣を意識的に見直すことが、将来の発症を遅らせたり、防いだりする最大の鍵になることでしょう。
ステップ2:遺伝子型に「左右されない」予防の土台を固める
認知症予防において、遺伝子型に関わらず、すべての方に共通して効果的だとされている習慣があります。まずは、これらを日々の生活にしっかりと組み込みましょう。当サイトのコラムで、それぞれの具体的な実践方法を詳しくご紹介しています。
①運動習慣
脳の血流を改善する有酸素運動(ウォーキング、ジョギングなど)を週に数回行う。
②バランスの良い食事
脳の健康を支える青魚(DHA・EPA)、野菜(抗酸化作用)を意識的に摂ることなど、様々なレシピが紹介されています。
③知的な活動と交流
趣味や学習、友人との交流など、脳に「使いどころ」を与える活動を継続する。
★おすすめコラム 会話・日記アプリやオンラインコミュニティが新たな認知症予防 の手段に?
④質の高い睡眠 をとること・リラックスすること
昼間に活動した脳を休ませ、老廃物を排出するために十分な睡眠時間を確保する。
★おすすめコラム1 認知症を予防する睡眠時間と昼寝とは?良質な睡眠のポイントも解説
★おすすめコラム2 「日記をつけること」が認知症予防につながる?
⑤生活習慣病の管理
高血圧、糖尿病、高コレステロールなどは認知症のリスクを高めます。これらを適切に管理することも大切です。
★おすすめコラム 高血圧を制する者は、認知症を制す。「心臓に良いことは、脳にも 良い」
あなたのAPOE遺伝子検査の結果は、未来の健康への意識を高め、予防行動を始めるための大切なメッセージです。ぜひ、この機会に当サイトのコラムを隅々までご活用いただけると嬉しいです。
遺伝子を知った今日から、あなたの「予防」を始めましょう!